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正倉院展と世界遺産への旅

私にとっては、毎年の恒例行事になっている日帰り正倉院展の旅。

今年も第67回正倉院展が始まり、

塾の休みを利用して奈良県を訪れてきました。

時間を有効に使うために、相変わらずの地元を始発での出発・・・()

年齢とともに、きつくなってくるな~などと、ちょっと気弱にもなっている

自分がいるのですが()、それでも家にはまだ未成年の子供がいるので、

宿泊はいずれ子供たちが独立した時にとっておくということで、

東京発6:20の新幹線でいざ新大阪へ・・・ん?

ここで地理に詳しい方ですと、

なぜ京都ではなく新大阪?となると思うのですが、

今回は目的が正倉院展ともう一つ、大切な場所があったのです。

その場所は、後半で触れるとして、


まずは正倉院展・・・

今回の正倉院展では、初出陳12件を含む、

63件の宝物が出陳されていました。

毎回メインと言われている宝物(右写真)は、

非常に興味深く楽しみにしていたのですが、

私が今回の宝物の中で、

一番出会うことを楽しみにしていたのは、


「玳瑁竹形如意(たいまいのたけがたにょい)」という宝物です。


なぜなら、その宝物は、昭和21年の第一回正倉院展に出陳されていた宝物なのです。

昭和21年と言えば、第二次世界大戦終結の翌年で、

日本中が混沌としているそんな時代に、その宝物は出陳されていたのです。

敗戦直後の人々は、この宝物を見て、どのように感じ、

またこの宝物を通して、日本の遠い過去と

戦後のこれからの日本の未来をどのように思い描いたのか・・・

もちろん、それぞれの宝物は、人々に「見られている」・・・のですが、

私は、宝物も人々を「見ている」のではないか・・・そんな気持ちを持って、

宝物と向かい合いました。


絵画や彫刻など・・・さまざまな芸術作品は、

心で語りかければ、何かしらの返答を自分の心に返してくれます。

私はそんな風に思いながら、芸術作品には接しています。

今回の「玳瑁竹形如意」にも、同じように語りかけながら

しばらくその前で、足を止め眺めていました。

あまりにも人が多く、止まると迷惑なので、

最前列ではなく、一列下がったところで、

迷惑にはならなかったと思いますが・・・()


自分が出会いたかった宝物と向き合っていられる時間というのは、

本当に幸せを感じる時間ですよね。

その時間の中で、その宝物の存在が、

確実に私の心の中に刻み込まれました。

第一回正倉院展当時の人々の気持ちを正確に知ることはできませんが、

それでも、きっと千年以上も前の作品の中に、

日本の未来への希望を見い出していたような気がしてなりません。

他にも当時出陳された数多くの宝物が、

長い戦争で疲弊しきった人々の心を癒してくれたのではないか・・・

戦争には負けたが、日本の歴史や伝統を失ったわけではない・・・

そんな風に励ましてくれたのではないか・・・と感じました。

今回の正倉院展は、日本の戦後を顧みるような気持ちにさせてくれる、

そんな正倉院展でした。


と、ここで前半に触れた、新大阪駅で降りた理由ですが、

正倉院展の後に、訪れる場所の都合上、

一番交通の便が良かった場所が新大阪駅だったのです。

その場所というのは、平成21年から5年半をかけて、

50年ぶりの改修を行い、

今年の3月から一般公開の始まった、

白鷺城こと、国宝の姫路城です。

日帰りで正倉院から姫路城へ・・・というのも、

ずいぶん無謀な予定ですが()

そこにはある理由があったのです。

 

私の父は、今から3年前に他界しました。

父は生前、姫路城の改修が始まる・・・とニュースになった時に、

改修前と改修後を見るんだ・・・と、改修工事の始まる直前に、

姫路城を訪れていました。

もちろん、その時は病気でもないですし、

毎日ジムに通うような元気一杯の父でしたから、

5年半後の生まれ変わった姫路城の姿を見られることは、

信じて疑わなかったことでしょう。

ところが、姫路城を訪れた3年後に、父は病に倒れ、入院し、

ついには姫路城の完成を待たずに、帰らぬ人となりました。

入院しているときにも、姫路城のことを何度か話していて、

絶対に病気を治して、新幹線で姫路城を見に行くんだ・・・と、

辛い治療に耐えながら、笑って話してくれていました。

だから、私にはそんな亡き父への想いがあり、

完成したら、必ずそこを訪れて父に見せてあげよう・・・と、

ずっと思っていました。


今回は、その想いを果たせる機会だったので、

思い切って奈良から姫路へ・・・ちょっと無謀な旅をしたのです。()

姫路城を訪れた時には、私のジャケットの内ポケットの中に、

父の小さな遺影を入れていき、

お城の前では、周りの人にはわからないよう、

目立たないように写真を取り出し、

父にお城を見せてあげることができました。

思いっきり出してもよかったのですが、

外国の方も多くいたので、あまり意味不明なことをすると、

好奇の目で見られますからね。()

珍しいことだと、すぐに写真を撮ってくるし・・・


私自身は、姫路城は大学生の時に訪れたのが最後なので、

実に25年ぶり位でしたが、

それでも姫路城が格段に美しくなっているのがわかりました。

当時は、白鷺城・・・と言われても、え?そうかな~?と感じましたが、

今の姫路城は改修で新しく塗られた白漆喰が、

お城全体を白く輝かせていて、まさに昔、

飛び立つ白鷺に例えられたという白鷺城そのものでした。

きっと父も、あまりの美しさに、感動してくれたことでしょう。

これを読んでいただいている方の中にも、

過去に姫路城に行かれた方がいらっしゃると思いますが、

是非機会があれば、もう一度生まれ変わった姫路城を、

訪れてみてください。

そこには、まさに創建当時の美しい白鷺城の姿を見ることができますので・・・

 

今回はその二箇所以外には寄ることもできなかったので、

来年は、奈良を中心に、少しゆっくりと行ければいいな・・・と思っています。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。