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新聞の受験報道に関して思う事

本日、毎日新聞の一面に、埼玉県の私立高校の「確約」について、

言及する記事がありました。

それに伴って、色々な場所で反響があるようです。

私も塾を始めてから16年経ちますので、

そのことを知らない・・・ということはありません。

ただ、表面上の知識を得ただけで、

すべてをわかったような記事を書いたり、

まるでそれを糾弾することが正義であるかのように書いたりする論調には、

少なからず、不愉快さを感じます。

そもそも埼玉県の中学の現状と、

受験のシステムをわかっているのでしょうか。

私も埼玉県の受験システムは、かなり独特だな・・・と感じています。

ただその反面、良い部分もあります。

 

私なりに感じている悪い部分と良い部分を書いてみますと、

まず悪い部分は、やはり「確約」という言葉です。

 

・埼玉県の中学校が生徒に自由に高校を選ばせるという名目を使って

先生による高校との相談を放棄し、

それに対して各私立高校が保護者と生徒対象の個別相談会を

実施し始めたころは、今ほど「確約」という言葉は使われていませんでした。

「確約」というのは、本来何があっても受かります・・・ということで、

当日0点を取ったり、欠席したりすれば当然不合格になりますから、

使用する事自体が間違っている言葉です。

ところが、「確約」という言葉が一人歩きをしてしまって、

高校側がその言葉を言わないと安心できない保護者の方が多くなり、

結果としてその言葉を使わざるを得ない高校が増えました。

以前から使用されていた言葉は、

 

「この成績なら、例年落ちる生徒はいません」や

「去年はこの成績の生徒は受かっています」など、

過去の実績からは安心して受けてもらっていいですが、

当日のテストも頑張ってください・・・

 

という主旨の言葉でした。

それが「確約」という言葉になると、公立高校第一志望の生徒は、

当日のテストが大切なので勉強をしっかりがんばりますが、

私立高校第一志望の生徒の中には、緊張感が完全になくなり、

受験生なのに、勉強に対して前向きではなくなる生徒もいます。

もちろん合格することが最終目標であればそれでもいいのですが、

高校はあくまでも人生における通過点です。

特に英語と数学の内容で、中学3年生の2学期に習う内容は、

高校の勉強にとっても重要ですから、

高校入学後もきちんとついていくためにも、

最後まで集中して勉強する必要があるのです。

ただ、ここで勘違いしてほしくないのは、

だから塾に通わなくてはいけないんだよ・・・という事ではないのです。

 

最近の塾対象の高校説明会では、こんなことを言う高校を見かけます。

それは、

 

「私立高校と塾とはギブアンドテイクです。

確約をもらっても、生徒が安心してしまって塾をやめないようにしています」

 

そのために、高校入学前にクラス分けのテストを実施します・・・や、

上のコースへ上がるためのチャレンジ入試を実施します・・・などです。

もちろん高校側にとっては、本来するべきテストを塾にこじつけて、

そういう対応をしています・・・とアピールしているのかもしれませんが、

そんなことを言う必要があるのでしょうか?

そもそも、「塾と私立高校がギブアンドテイク」っておかしいですよね。

塾とは、生徒の勉強をアシストして、勉強ができるようにする場所です。

極論を言えば、生徒に勉強の習慣がついて、実力もつき、

自分でできるようになれば、塾をやめてもいいと思います。

もちろん塾の人間としては、やめないようにしてくれる・・・というのは、

ありがたくない・・・と言えば嘘になります。

それでも、私が生徒に高校のことをアドバイスするのは、

その高校の為ではなく、その生徒のために、

その生徒の成績で目指せる高校や、

その子にとって将来の可能性を広げてくれるであろう高校を話すのです。

ですから、高校側も個別相談時に、

「塾はやめちゃだめだよ」とか、

「卒業まで塾でしっかり勉強するんだよ」というような言葉は必要ないですし、

そういうことを話すから、生徒も塾の存在を過剰に大きく感じてしまい、

塾の言う事が正しく、その情報や高校の推薦を条件にして講習などで

利益に結び付けるような、本来あってはならないような塾が現れるのです。

 

話が少し横道にそれましたが、

100%大丈夫のような対応の「確約」という言葉は、

生徒の勉強への意識が薄れてしまうので、変えた方がいいとは思います。

でも、それはその言葉や100%合格であるかのように

対応することが問題なのであって、

「確約」を出すような事前の受験相談である個別相談もいけないのかと言えば、

私はそうは思いません。

中学生活で自分ががんばってきた実績や成績で事前に相談をして、

ある程度安心して受験に臨めるようなシステム自体は、

間違っていないと思います。

それは生徒が学校の内外で行ってきた努力が評価をされて、

そのことで高校の推薦基準を満たし、それが合格の可能性を高めるのですから、

結果として、生徒自身の自信へと繋がるからです。

 

次に、埼玉県の受験システムで良い部分は・・・

 

・生徒が自由に高校選びができるという点です。

 例えば、中学校の先生が高校に行って相談する従来のパターンですと、

 一度推薦の相談をして、高校側とも話がまとまれば、

 そうそう変更できるものではありません。

 現状の公立高校の願書を出すだけでも、一度志望校を伝えると、

 変更することを良しとしない傾向があるわけですから、

 わざわざ私立高校に出向いて話をするなら尚更です。

 先生にしても、生徒が一クラスに40人もいれば、

行かなければいけない高校も数多くあります。

それを普段の授業などの業務に加えて、高校訪問となれば、

先生たちで分担したとしても、そう何度も行くわけにもいかないでしょうから、

ある程度まとめて・・・となるのは必然です。

仮に私立高校側に中学校に来てもらって・・・となれば、

ますます変更などたやすくできるとは思えません。

それに、生徒には2学期にものすごく成績が伸びる生徒がいます。

ところが、中学校に依頼する形ですと、その結果を生かせずに、

早めに志望校を決めざるを得ません。

その点、生徒や保護者の方が、自由に高校の個別相談に参加して、

推薦の話ができるシステムは、高校が最後の個別相談を行うギリギリまで、

志望校を決めることができるので、受験生にとっては、

非常にメリットがあると言えます。

 

ここであえて、改善してほしい点があるとすれば、

中学の先生が、各私立高校の推薦基準を、

内申点(通知表)の基準だけではなく、

業者テストの偏差値の基準も把握しておいてほしい・・・ということです。

塾に通っている生徒たちは、余程いい加減な塾では無い限り、

塾が各高校の偏差値の推薦基準を把握していますので、

塾側に教えてもらうことができますが、

塾に通わない生徒たちにとっては、

各高校に直接出向かないとわからない数値です。

高校によっては、内申点をクリアしていても、

偏差値をクリアしないと、安心して受けられない高校もあります。

中学校が偏差値による偏った指導はしない・・・というのは構いませんが、

推薦基準として実際に存在する偏差値の数値は、

知っている生徒と知らない生徒では、高校選びにも差が出ます。

業者テスト自体は、塾以外でも申し込めますから、

自分の偏差値がいくつなのか・・・というのは、

塾に通う通わないに関係なく生徒は知ることができます。

そして、その数値が、どこの高校の推薦基準に当てはまるのかが

中学校で情報としてわかれば、生徒にとっては選択の幅が広がりますし、

何よりも、進路を決める上での不公平さがなくなります。

勉強の仕方や、勉強の力が上がっていくのは、

塾に通う生徒と通っていない生徒で差が出ることがあったとしても、

それは仕方がないと思うのですが、進路に関しては、

そこで選択肢に差が出るのはおかしいです。

 

ちなみに、業者テストが塾に通っているから有利・・・という

記事もありましたが、それは一概には言えないと思います。

代表的な北辰テストにしても、中学の内容を逸脱した問題はありません。

自分で努力しても解けないという問題はないのです。

もちろん、個々の学力の差により難易度の感じ方は違いますが・・・

だから偏差値をなくせ・・・というのであれば、

それこそ生徒の学力のレベルを計っている

埼玉県の各地域で行っている、実力テストも無くすべきです。

学校外で受けている業者テストはダメで、

中学校の進路の指針に使いたいテストならアリ・・・というのは、

あまりにも乱暴な理論です。

 

それに、そこを指摘するのなら、埼玉県公立高校入試における、

各高校の選抜基準の方が、よっぽど問題ではないでしょうか?

内申点の加点項目に、中学の学習内容ではとても取得できない、

英語検定や漢字検定、数学検定の準2級や2級などがあり、

本来の中学の学習内容で取得できる3級を、

評価の対象に入れていない高校が多々あります。

漢字検定は独学でも準2級や2級の合格の可能性はありますが、

英語検定と数学検定に至っては、

それこそ塾で学習をしなければ、準2級や2級は、

まず合格できない内容です。

私も受験期には、高校一年の内容まで塾で学習をしましたが、

中学校だけに通っていたのでは、絶対に教えてもらえない内容でした。

それこそ、塾に通っている生徒と、通っていない生徒で、

差が生まれているということで、

しかもその対象高校が公立であるということが大問題です。

もし問題提起を行うなら、ニュースにしやすく購読者が興味を持ちそうな

私立に対してだけではなく、公立の入試もきちんと調べて、

問題提起を行って欲しいものです。

 

何やら長々ととりとめのない文章になってしまいました・・・

塾の人間としては、変なことを言っているのかもしれません・・・

でも、今日のニュースを見て、どうしても書いておきたくて、

勝手なことを書きました。

異論反論もあるかと思いますが、ご容赦ください。

 

最後に、最近の情報では、埼玉県の中学の先生も、

積極的に私立高校側と話をするよう

県からの通知が来たと聞きました。

それ自体はいいことだと思うのですが、

ただその内容が、現場を本当にわかっているのか?と思えるもので、

高校側と生徒の相談をする際に使う資料として、

「通知表は使わない」

「地域ごとの実力テストの結果は使わない」

ということだそうです。

では、何をもとに高校側と話をするのでしょう?

こんな通知を出しているようでは、埼玉県の入試システムは、

まだまだ変わりそうにありません。

これでは、中学の先生も何もできないですし、

生徒のことを親身になって考えてくれる

良心的なやる気のある先生方も、

どうしようもないジレンマを感じていることでしょう。

 

 いずれにしても、大人の勝手な都合や言い分ではなく、

すべての生徒にとってわかりやすく、

安心して受験に臨めるようなシステムになることを切に願います。