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足尾銅山の今

先日生徒と社会の教科書を見ていたときに、
足尾銅山鉱毒事件のページがありました。

足尾銅山鉱毒事件と言えば、日本の公害問題の原点とされている出来事です。
田中正造が明治天皇に直訴をしたことでも有名な事件です。
それを見て生徒から、これはどこにあって、
今はどういう場所なのか?・・・と質問をされ、
そういえば、私自身も名前は知っていても、
ただ漠然と栃木県にある・・・ということぐらいしか知らず、
その場所の詳しい行き方や、足尾銅山が今どうなっているのかは、
まったく知りませんでした。
その質問をされた後、足尾銅山をホームページで調べてみると、
意外と近くにあり、足尾銅山内部の見学もできるようだったので、
この間の休日を利用して、出かけてみました。
車で行くには、東北道まわりで日光方面から行くのと、
関越道まわりの桐生方面から行くのと、
どちらが近いのか地図上では不明だったので、
現地の施設に問い合わせてみると、ご年配の方が電話に出て、

返って来た答えは、「わからないな~~」・・・でした。()
思わず、え~~~?それはないでしょう~・・・という気持ちでしたが、
わからないものは仕方がないので、自分なりに調べて、
関越道経由で行くことにしました。
結局現地に到着したのは、家を出てから2時間30分位で、
思いのほか近く、さらに驚いたのは、
途中に草木湖(草木ダム)というのがあるのですが、
私は昔そこに友人と旅行に来ていたのです。
その草木湖から足尾銅山は、20分もかからず、
ここまで来ておきながら、足尾銅山に行かなかったんだ・・・と、
当時の自分の意識の低さを、痛感させられました。
ただ、草木湖の景色の記憶もほとんどないのですが・・・()


余談ですが、先日テレビで放送されていたのですが、
最近ではダムマニア?の間で、
ダムカードなるものが流行っているようで、
草木ダムもそのカードを無料配布していたので、
思わず寄り道をして、

事務所でダムカードをいただいてしまいました。()
なかなかきちんとしたカード(右写真)で、

ダムマニアではない私ですが、
思わず他のダムカードも集めたくなりました。
ところで、ダムカードを作るメリットってなんなのでしょうね?
黒部ダムのように、地域の観光業の目玉として成り立っているダムであれば、
地域観光の発展に・・・となるのでしょうけど、
そこにダムがあるだけ・・・では、もらう側は嬉しいですけど、
ダム側には何も恩恵がない気もするのですが・・・


話がそれましたが、そんな寄り道をしながらも、

無事に足尾銅山に到着すると、

そこには「世界遺産登録をめざしています」の文字が・・・
う~~~ん、どこかで同じようなものを見た気が・・・と

思っていると、そうです!!群馬の富岡製糸場に、

世界遺産登録される前の年に行った時に、
掲げてあった言葉です。
富岡製糸場はその後、無事世界遺産に登録されましたが、
ここ足尾銅山はどうでしょうか。
では、そんな判断もしてみようと、小生意気な私は、
審査員になったつもりで、入山していきました。()

入坑券を購入して入ってみると、鉱山の内部へは、
当時働いていた方々が作業場に行くのと同じように、
トロッコに乗って入ることになり、
山の内部に入るときには、なかなか気分が高揚していく

感じがします。
ただ、その高揚する気分とは正反対に、
山の内部の気温は一気に下がり、
外の気温は25度近くだったのに対し、
12度というありえないような涼しさ・・・というより寒さでした。
半袖でのんきに乗っていた私には、辛すぎる温度です。
まぁそれでも、私にとっては暑いよりは過ごしやすいのでいいのですが・・・()
トロッコを降りると、徒歩で坑内を見ていくのですが、
歩ける場所は、全体からしたらほんのごくわずかで、
足尾銅山内の坑道の距離は、東京から博多までの距離に匹敵するようです。
江戸から昭和にかけて採掘していたといっても、
よくそれだけの坑道を掘っていったものですよね。
そこを全部歩いていたら、二度と地上には出られないことでしょう。()

見学コースには、江戸時代の採掘方法から、
明治・大正、そして昭和の採掘方法を実物大の人形で

表現したものが、展示されていました。
寒くて、暗くて、岩肌からずっと水があふれ出ていて、
とてもいい環境とは言えない仕事場でしたが、
当時の人たちは、日本一の銅山であるという誇りを胸に

働いていたようです。

私の劣悪な環境だな~という印象とは裏腹に、
今は工事現場のどこでも見かける、
「安全第一」という看板ですが、
日本で一番最初にそれを掲げたのは、
ここ足尾銅山だったようで、右の写真がそれです。
表面上の環境だけを見ただけでは、わからないものですね。
ちなみに、銭形平次の投げ銭で有名な、
「寛永通宝」も造られていたようですよ。
そして、最後のコーナーには、
足尾銅山の詳しい内容のシアターが・・・
とてもわかりやすく、納得の内容でした。
入坑前に見せてよ~とも思いましたが・・・()

と、ここで銅山内部のすべての観光が終わり、
「う~~ん、いいものを見た・・・」と、
充実した気持ちで暑い外に出るのですが、
ふと疑問が・・・

「あれ?ここの負の歴史に関しての資料は?・・・」


足尾銅山と言えば、生徒たちが学ぶのは、
素晴らしい銅山・・・なのではなく、
「鉱毒事件としての足尾銅山」なのです。
世界遺産としての価値も、そこを外しては考えられないところです。
鉱毒事件があり、それが起こった理由や現象、

被害の規模はどうだったのか・・・
また、それにどう対応をして、

どういう経緯で解決していったのか・・・
そういう部分が、ほとんどと言っていいほど、
語られていませんでした。
確かに、パソコンなどで調べればわかることですし、
足尾銅山を訪れる前に、勉強をしておけばいいのですが、
机上でそれを見るよりも、現地でそれを見ることの方が、
何倍も勉強になりますし、心にも残るものです。
確かに、臭いものには蓋をしろ・・・ではないですが、
良い面だけを見せて、見に来た人にいい印象を与えるのも大切ですが、
鉱毒事件として、ここまで有名になっている足尾銅山ですから、
その部分の詳しい資料の展示など、
避けては通れないのではないでしょうか。
働いている環境にしても、いい環境であるのは分かりましたが、
それでも、あの環境では、坑道が崩れたり、粉じん被害などがあったり、
きっと犠牲になっている人も数多くいるはずです。
個人的には、そういう負の部分に触れていない状況では、
世界遺産登録というのはできないのではないかと思います。


足尾銅山自体は、とても貴重な場所ですし、
あそこに行けば、生徒たちもきっと何か感じることがあると思います。
だからこそ、良い所だけの一方面からしか表現せず、
多方面から見た足尾銅山像が見えない今の状況はもったいなく感じます。
ただ、自分自身がそういう知識を持っていれば、
距離的にも近いですし、歴史的価値はありますし、
訪れる価値は充分にあるとは思います。
あれだけ人がいなくて空いていた()富岡製糸場が、
世界遺産に登録されたとたんにすごい混みようですから、
足尾銅山も登録されたらきっと多くの人が訪れるでしょうし、
今がチャンスかもしれないですね。()

私が訪れた時には、観光客は数人ほどでしたので・・・
あ・・・その足尾銅山周辺の道路には、野生の猿もいましたから、
そんなことも、日常とは離れて、いい気分転換になるかもしれませんね。
機会があれば、是非お出かけしてみてください。

足尾銅山に行くキッカケになった質問をしてくれた生徒には、

こんな感じで報告をしようと思います。